セットカラーの技術的な話

2021年01月29日

キーワード:

シャフトカラー

金属カラー

固定カラー

ステンレスボルトを使用する際の焼き付き防止処理について

ステンレス製のボルトやナットは、締め付けによって摩擦熱が発生します。その摩擦熱によってねじの部分が膨張する現象があります。その際に雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなる現象が起こる場合があり、「焼き付き(かじり)」と呼ばれています。ひとたび焼き付きが起こるとボルトは取れなくなり、トルクによってはボルト自体が折れてしまうこともあります。岩田製作所のステンレス製セットカラーではそれを防ぐため、締め付け用の六角穴付ボルト(キャップスクリュー)にテフロン系のコーティングを施し、それによって焼き付き防止と、スムーズな締め付けを実現しています。ステンレスボルト自体の材質はSUSXM7を採用していることも特徴です。テフロン系コーティングも含めて、改正RoHS(通称RoHS2。10物質の制限)指令に適合した材料を使用しています。

ステンレスボルトを使用する際の焼き付き防止処理について

セットカラーのザグリ形状について

岩田製作所のスタンダードスリットカラー®(SCS)とスタンダードセパレートカラー®(SCSS)には、深ザグリ穴という穴があります。この穴は締め付けの際に使用するキャップスクリュー(六角穴付のボルト)を挿入するために使用します。このザグリは切り欠き形状(図1)になっており、一般的な深ザグリ(円筒形状)よりもボルトが挿入しやすい形が特徴です。現場で働いている方からも評判が良く、実際に食品機械メーカーのお客様からも、ザグリに異物が入っても清掃性がよく、メンテナンスがしやすいとのお声もいただいています。岩田製作所のセットカラーは、お客様に少しでもご使用いただきやすくするため、細部にまでこだわって設計しています。はめあいの寸法やベアリングの固定方法などに関しては、岩田製作所のホームページ内で確認できます。セットカラーはシャフトなどに取り付けて使用する部品ですが、セットカラーの使い方やベアリングの固定について不明な点があれば岩田製作所までご相談ください。

穴付セットカラーを組み付ける際の手順

岩田製作所のセットカラーには、2穴付、3穴付、4穴付、3ザグリ穴付、2ネジ穴付、3ネジ穴付の製品も標準品として取り揃えております。これらの穴付のセットカラーの使用において、「組み付けの手順」は必ず確認しておきましょう。以下ではセットカラーの使い方を手順ごとに紹介します。気になる方は参考にしてみてください。 ※セットカラーにブラケットを付ける流れ Step1 シャフトにセットカラーを通す Step2 ボルト(ねじ)で、ブラケットをセットカラーに仮付けする ※その際にねじは手で動く程度にしておいてください Step3 セットカラーの締め付けボルト(ねじ)を締め、シャフトに固定する Step4 仮付けしていたブラケットのボルト(ねじ)を本締めし、セットカラーに固定する 上記が穴付セットカラーの組立手順です。ご紹介した手順では、ブラケットの仮止め→セットカラーの固定→ブラケットの固定でした。ここで注意いただきたい点として、スリットカラーやセパレートカラーの場合は、セットカラーよりも先にブラケットを固定(本締め)してしまうと、セットカラーのシャフトへの締め付けを邪魔してしまうリスクがある点です。また、ブラケットを固定しているボルト(ねじ)に負荷がかかることもあるので注意してください。穴付セットカラーの組み付けの際は、必ずセットカラーを固定してからブラケットを固定しましょう。それによって組み付けのやり直しなど、ムダな作業の発生リスク軽減にもなります。ベアリングの固定方法について不明なことがあればご相談ください。

セットカラーのスラスト、ラジアルについて

「スラスト」「ラジアル」の数値は、岩田製作所のセットカラーを使用する際にシャフトを傷つけないための重要な目安になります。しかしセットカラーにおける「スラスト」「ラジアル」とは一体何なのでしょうか?適したセットカラーの選び方を身に付けるためにも、それぞれ知っておきましょう。 ・スラストとは スラストは回転軸の軸方向に働く推力を表します。セットカラーの場合、どのくらい軸方向に荷重をかけるとセットカラーがずれてしまうのかという、保持の強さを表す指標のひとつです。セットカラーの端面(正面)に物が当たるなど、軸方向に負荷がかかる場合にこの数値を参考にします。 ・ラジアルとは 軸に対して回転方向(直角方向、半径方向)にかかる推力のことを指します。セットカラーの場合、どのくらい回転方向に負荷をかけるとセットカラーが回ってしまうのかという、保持の強さを表す指標のひとつです。セットカラーの外周や端面に何か取り付けるなど、回転方向に負荷がかかる場合にこの数値を参考にします。 上記の通り、セットカラーを選定する上で「スラスト」「ラジアル」の数値は、目安のひとつとして役立ちます。岩田製作所では、「スラスト」「ラジアル」ついての詳細な技術資料もご用意していますので、ぜひ選定のご参考にご利用ください。

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